北朝鮮「ミサイル発射」挑発の真意(3)

執筆者:平井久志2019年5月24日
北朝鮮のミサイル発射は、日米韓の首脳にさまざまな影響を与えた(左から文在寅韓国大統領、トランプ米大統領、安倍首相)(C)EPA=時事

 

 北朝鮮は昨年4月20日の朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で、「並進路線」を終了するとして核実験やICBMの発射実験は行わないと決定した。

北朝鮮の約束の「曖昧さ」

 しかし、この党中央委での金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の発言と党の「決定書」の間には違いがあった。

 金党委員長は党中央委総会で、「核開発の全工程が科学的に、順次的に行われ、運搬打撃手段の開発やはり、科学的に行われて核の兵器化の完結が検証された条件の下で、今やわれわれにいかなる核実験と中・長距離、大陸間弾道ロケット試射も不用となり、それによって北部核実験場も自己の使命を果たした」と強調した。

 一方、党中央委総会では「決定書」が全会一致で採択されたが、ここでは「主体(チュチェ)107(2018)年4月21日から核実験と大陸間弾道ロケット試射を中止する。核実験の中止を透明性あるものに裏付けるために、朝鮮の北部核実験場を廃棄する」とされている。

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