北朝鮮「ミサイル発射」挑発の真意(4・了)

執筆者:平井久志2019年5月25日
平壌の「科学技術の殿堂」の中心ホールに展示されている人工衛星運搬ロケット「銀河3」の模型。これが再び打ち上げられるのは最悪のシナリオだ (C)時事

 

 安倍晋三首相は2017年9月の国連総会で、演説の大半を北朝鮮問題に割いた。安倍首相は「北朝鮮は、核、ミサイルの開発を、諦めるつもりなど、まるで、持ち合わせていなかったということであります」と非難し、「対話による問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した。何の成算あって、我々は3度、同じ過ちを繰り返そうというのでしょう」「必要なのは、対話ではない。圧力なのです」と訴えた。

安倍政権も「日朝首脳会談」と「ミサイル」分離

 その安倍首相が2018年3月にドナルド・トランプ米大統領が米朝首脳会談開催を受諾すると、それまで口にしなかった「日朝平壌宣言に基づき、過去を清算し、国交正常化に努力する」という言葉に言及を始めた。

 そうしているうちに2018年9月25日の国連総会演説では、「拉致、核・ミサイル問題の解決の先に、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す日本の方針は変わりません」と強調した。これは「過去の清算や国交正常化」を「拉致、核・ミサイル問題」の解決の後の課題だと考えていることを示した。

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