「戦争広告代理人」が分析する「トランプ訪日」(前編)
2019年5月29日
「アメリカの歴史上、我々はこれほど矛盾だらけで、堕落し、腐敗した大統領とその政権を目の当たりにしたことはない」
「彼の政治戦略とはすなわちアロガンス(傲慢)とイグノランス(無知)の集合体だ」
まさに一刀両断。ドナルド・トランプ米大統領の評価を問う私の質問に対するジム・ハーフ氏の答えは、予想をはるかに超えて、トランプ大統領に対して極めて辛辣だった。「トランプ大統領のおかげで、いまアメリカという国は建国以来の存在の危機にある」とまで言い切った。
「ジム・ハーフ」という男
ハーフ氏は、ワシントンで40年近くアメリカ政治をつぶさに観察してきた国際PRエキスパートだ。PRはパブリック・リレーションズの略であり、メディアや政治のあらゆるアクターたちに働きかけ、世論や政治の潮流を動かすプロフェッショナルの戦略のことである。
ハーフ氏はこの業界に身を置き、拙著『戦争広告代理店』(講談社文庫)と、この本のもとになった『NHKスペシャル・民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕』でかつて描いたように、1990年代のボスニア紛争の紛争当事者をクライアントとした仕事で名をあげ、当時勤務していた大手PR会社から独立して、現在はワシントンで自らのPR会社を経営している。
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