訪問は実現するか(テヘラン市内、写真はイメージです)
 

 令和になって最初の国賓として来日したドナルド・トランプ米大統領は、次期大統領選において最も強敵となると思っているのか、何度かジョー・バイデン前副大統領への攻撃ツイートを繰り返した以外は、至極ご機嫌で帰国されたようだ。最後に、安倍晋三首相のイラン訪問計画にも期待を寄せ、あまりのサプライズのなさに拍子抜けするほどだった。

 安部首相のイラン訪問は、もし実現すれば、1979年のイラン・イスラム革命後40年、初めての首相訪問となる。

 前回の首相訪問は1978年9月、すでにパーレビ国王への抗議行動がイラン全土に拡大しているさなかのことだった。

 当時、日本とイランのあいだには「イラン・ジャパン石油化学(IJPC)」という、両国家の威信をかけた国家プロジェクトが存在しており、テヘランでパーレビ国王と謁見した福田赳夫首相も、当初はその後、イラン南部のプロジェクト建設サイトを視察する予定だった。だが、すでに国内治安は悪化しており、建設サイトでもイラン人労働者による反パーレビの抗議行動が活発化していたため、現地入りは断念せざるを得なかった。結局、福田首相は飛行機で上空を旋回し、機上から現地で働く日本人たちにエールを送ることしかできなかった。炎暑の現地で働く日本人労働者たちは、建設キャンプのプレハブ住宅の屋根に「日の丸」を描き、祖国の期待に応える決意を表明したのだった。

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