衝撃的な試算を公表した、日銀の金融システムレポート

 

 地方銀行の存続意義が問われている。

 少子高齢化が進む中で、日本銀行の低金利政策が響き、業績が急激に悪化。こうした状況に対して、国や行政がにわかに様々な政策を打ち出しており、地銀は経営改善を強く迫られている。大手地銀幹部からも「もはや土俵際と言うよりも、徳俵で何とか踏みとどまっている状況だ。早急に経営統合などの重大な経営判断をせざるを得ない」との声まで出ている。

10年後には58%が赤字に

 引き金を引いたのは日銀だった。4月17日、日銀は発表した金融システムレポートの中で、約6割の地銀が10年後の2028年度に最終赤字になるとの試算を示した。

 試算の前提は、緩やかな人口減少が続く中、日本経済の潜在成長率は現在と同程度の0%台後半で推移し、銀行の収益基盤となる金利動向は、長期・短期金利ともに2020年代に緩やかな上昇基調をたどり、長期金利と短期金利の金利差も開くとした。企業の資金需要は、現在と同じペースで減るケースと需要が変わらないケースの2種類を想定した。

 簡単に言えば、銀行は金利の低い長期金利で資金を調達し、金利の高い短期金利で融資や資金運用を行う。つまり、長期金利と短期金利の金利差が銀行の収益の源泉となる。人口減少や経済の潜在成長力は変わらないが、収益の源泉となる金利環境は改善するという前提を置いたわけだ。その上で、企業の資金需要が減るケースと現状維持のケースで試算した結果、企業の資金需要が減るケースでは、2023年度に21%、2028年度には58%の地銀が最終赤字に陥るとした。

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