現代の世界と日本
2019年6月1日

令和時代の「天皇」は、皇室はどうなっていくのだろうか (C)時事
さきの大戦が終わって、4分の3世紀にも垂んとする現在。天皇に対しては、「皇帝」はおろか、「君主」だとする感覚も乏しい日本人のほうが多いかもしれない。一定以下の世代では、「天皇は君主ではない」、「明治時代は立憲君主制だったのに対し、戦後は立憲民主制に変わった」というのが、ほぼ共通する認識だとも仄聞する。
君主号の変容
おそらく「大日本帝国」に対するネガティヴな感覚とパラレルなのだろう。だが、戦争を知らないながらも、昭和天皇の実在した時代に生まれ育ったわれわれには、やはり違和感がぬぐえない。
日本国憲法の定める政体を「立憲君主制と共和制の中間形態」とする学説もあって、これは天皇を「君主とも元首とも」認めない解釈である。しかし世界史の見地からみれば、君主の属性は必ずしも一定していない。なればこそ、多様な君主号が出現してきた。そうした意味で、天皇はいかなる属性であっても、やはり君主ではあって、「立憲民主制」といわれては、いささか首をかしげてしまう。
とにかく史上、ほぼ一貫して二重構造だった日本の「王権」からすれば、「政治的影響力」のない天皇は、歴史的にはむしろ通例だった。それなら戦後の様態・政体は、いわば本卦還りなのであろう。「皇帝」として「政治的影響力」を有した時期が、異常だったとさえいえようか。
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