欧州議会選で急浮上した「マクロン復権」

執筆者:広岡裕児2019年6月4日
フランスの大衆紙『パリジャン』の5月27日付1面(筆者提供)

 

 タブロイドの紙面の左と右に厳しい顔で対峙するエマニュエル・マクロン仏大統領とマリーヌ・ルペン「国民連合」(RN)党首の横顔、その真ん中には「ビッグバン続く」の大きな見出し。欧州議会選挙開票翌朝5月27日付の大衆紙『パリジャン』の1面である。

 戦後のフランスは、シャルル・ドゴール派と「共産党」の対立の軸で始まった。その後、ドゴール派には新自由主義的要素が加わってジャック・シラク、ニコラ・サルコジ派になり、左は共産党に代わってフランソワ・ミッテランの「社会党」が中心となったが、基本的に左右対立の1本の筋の通った伝統的政党支配の構造が続いていた。

 ところが、マクロン氏とマリーヌ・ルペン氏の出現によって、2017年の大統領選挙ではその構造が根本からひっくり返る「ビッグバン」がおきた。

 見出しのすぐ下には、両手を上げてガッツポーズする「ヨーロッパ・エコロジー=緑の党」(EELV)のパスカル・デュラン書記長(党首)、左下にはうなだれる共和党ローラン・ヴォキエ総裁の写真。そして、「共和党の難破、エコロジストの躍進、マクロン・ルペンの一騎打ち:昨晩の結果は、フランスの政治の景色の爆発を確認した」と述べられている。

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