イスラエルの軍事戦略を象徴する戦車「メルカバ」。後部中央にハッチがあるのがわかる (C)AFP=時事

「池内恵の中東通信」などでお馴染みの池内恵さんが教授を務める東京大学先端科学技術研究センターのグローバルセキュリティ・宗教分野が、3月22日に特別講演会を開催した。講師は、日本のイスラエル政治研究の第一人者である東洋英和女学院大学学長の池田明史さんで、テーマは「イスラエルの政治と安全保障」である。

 日本では近年、ハイテク分野での投資を中心に、イスラエルへの進出が加速している。世界の先端企業が注目するスタートアップ企業も次々と誕生している。

 そうした関心が高まりつつあるイスラエルだが、当該講演直後の4月9日には総選挙が行われ、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる右派の与党「リクード」が35議席を獲得し、第1党となった。だが過半数には及ばず、右派連立を目指すも合意できないまま期限を迎え、結局5月29日、議会は解散となった。これで再度の総選挙が9月17日に行われることが決まった。

 総選挙での第1党が政権樹立に失敗したのは建国以来初という。

 かくも混迷状態に陥ったイスラエルの政治や安全保障環境について、歴史を辿り、筋道を立て、周辺諸国から欧米諸国との関係までを縦横に語りつくした池田学長の講演を、以下に採録する。

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