金融審議会「市場ワーキング・グループ」第23回で配布された報告書(案)(金融庁HPより)
 
 

 金融庁がまとめた報告書が物議を醸している。「95歳まで生きるには、取り崩しができる金融資産が夫婦で約2000万円は必要になる」との試算を示し、公的年金制度だけでは生活苦に陥る可能性を指摘していると新聞やワイドショーが取り上げたことで、公的年金制度に対する不安や不満が噴出し、国会でも追及が行われることとなった。

 同報告書は、金融担当大臣を兼務する麻生太郎副総理・財務大臣が「正式な報告書としては受け取らない」との意向を示す異例の事態にまで発展している。

国民の不安・不満・怒りが爆発

 問題の報告書は、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が6月3日にまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という人生100年時代を見据えた資産形成を促すもの。この報告書の中で、「(65歳以上の)高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる」「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1300 万円、30 年で約 2000 万円の取崩しが必要になる」と指摘されている。

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