『資本雑誌 CAPITAL』(2014年10月号)に掲載された訪京団の写真。下段中央が習主席、その向かって右隣が李嘉誠・訪問団代表(筆者提供)

 

 香港が「逃亡犯条例」改正問題で大揺れに揺れている。条例改正により、香港で身柄を拘束された容疑者の中国本土引き渡しが可能になるのである。

 反対デモへの参加者は主催者発表とはいえ100万人超――香港住民全体の7、8人に1人――というから、1997年の香港返還以来の深刻な事態といえる。デモの規模はその後、200万人にまで膨れ上がったとの報道もある。

 だが、本土で猛威を振るっていた文化大革命騒ぎに呼応した香港極左過激分子が反英国・反植民地を掲げて起こした「香港暴動」(1967年5月~68年1月)の方が、より深刻であったようにも思える。あの時は多くの人々が香港を脱出したのだから。だが、じつはUターン組も少なくはない。香港にはさほどまで人を引き付ける不思議な魅力があるのだ。

北京と香港企業家の「双嬴関係」

 香港を考える場合、目の前で展開される事態を捉えることも重要だが、次の2つの原則を押さえておく必要があるだろう。1つは経済人が持つ政治的影響力であり、もう1つは経済人と北京との関係である。

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