サンクトペテルブルクで開かれた今年の「国際経済フォーラム」では、プーチン大統領(右)の習近平国家主席(左)への「おもねり」が目立った (C)EPA=時事

 

 6月6日からロシア・サンクトペテルブルクで開かれたロシア版ダボス会議「国際経済フォーラム」で、ウラジーミル・プーチン露大統領が主宰する世界通信社会議に出席した。会議では、10人の世界各国の通信社代表がそれぞれ1問だけプーチン大統領に質問する機会があったので、私は注目の日本とロシアの平和条約の見通しについて尋ねた。

 私は2014年以来この会議に出席しており、プーチン大統領に毎年、平和条約について聞いている。しかし、今年の会議ではプーチン大統領は例年になく厳しい回答をした。

 日米の安全保障協力の進化や日本からの経済投資の遅れを理由に、平和条約の交渉、つまり北方領土の引き渡しの交渉は「非常に難しいプロセスだ」「すぐには解決できないものだ」と断言したのだ。

 安倍晋三首相とプーチン大統領は、1956年の日ソ共同宣言を現在の日本とロシアの平和条約交渉の基礎であると確認している。同宣言は平和条約締結後に北方領土の歯舞、色丹の2島を日本に引き渡すと明記しているが、プーチン大統領は、当時とは異なる日米の軍事関係が出現してこの地域の安全保障環境が変化したと説明し、56年宣言をそのまま履行することに抵抗を示したのだ。つまり2島返還も難しいという結論だ。

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