ナワン・トブゲイ弁護士(左)と親たちの会代表のソナム・チェリン氏(右)(筆者撮影、以下同)

 

 タシさん(仮名・20代)が日本への1年半の留学を終え、母国ブータンへ帰国して2カ月が経つ。現地で仕事を探しているが、見つかる望みは薄い。ブータンでは若者の失業が社会問題となっている。タシさんによれば、彼女と同様に日本から戻った留学生も、多くが仕事に就けていないのだという。

「日本への留学は完全に時間の無駄でした。希望していた大学院への進学はできず、日本語も上達しなかった」

 タシさんは、ブータンの留学斡旋業者「ブータン・エンプロイメント・オーバーシーズ」(BEO)と同国の労働人材省が組んで進めた日本への留学制度「学び・稼ぐプログラム」(The Learn and Earn Program)のもと来日した留学生の1人だ。このプログラムを使い、2017年からの1年間で、人口約80万人の小国ブータンから700人以上の若者が、日本各地の日本語学校に入学した。

「日本に留学すれば、学び、稼げ、日本語学校の卒業後は大学院への進学や就職もできる」

 そんなプログラムの宣伝を信じてのことである。

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