ベネズエラで「取引」探る米ロの「思惑」

執筆者:古葉祥太2019年6月26日
ベネズエラを切り札に2人が画策する「取引」とは…… (C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、6月28日から大阪で開催される20カ国・地域首脳会談(G20)に合わせて、首脳会談を開く方向で調整している。2016年の米大統領選へのロシアの介入を巡る捜査でトランプ陣営の共謀が立証されなかったことを受け、接近する機会をうかがう。両者が駆け引きを繰り広げるのは、反米のマドゥロ政権と反体制派の対立が続くベネズエラの問題だ。

ひそかにNSC幹部を派遣

 「ロシアがベネズエラに派遣した(軍事)要員の大部分を撤収させたと伝えてきた」

 トランプ大統領は6月3日、ツイッター上で突如こう表明した。これを受けて12日、ホワイトハウスで記者団を前に「G20でプーチンと会う」と明言した。

 米ロはベネズエラを巡って鋭く対立してきた。マドゥロ政権を敵視するトランプ政権は1月、野党指導者ファン・グアイド国会議長の暫定大統領就任宣言を承認した。マドゥロ政権への制裁を強め、武力行使もちらつかせて政権交代を迫る。これに対してプーチン政権は金融面でベネズエラを支援し、100人規模とされるロシア国防省関係者や兵も派遣してニコラス・マドゥロ大統領を支えた。

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