賛否両論「MMT」は「日銀・財務省」失策の劇薬となるか
2019年7月1日
現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)という新たな経済理論が、世界の経済関係者の間で話題となっている。MMTの最大の特徴が、「財政赤字に問題はなく、政府が財政再建を行わなくとも、財政破綻をすることはない」という考え方で、その成功例として、政府債務がGDP(国内総生産)の240%にも達しながらインフレにも陥らず、財政破綻もしていない“日本”が取り上げられているためだ。
そもそもMMTは、米国の経済関係者の間で大きな議論を巻き起こした。MMTの提唱者の1人である米ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、バーニー・サンダース上院議員が2016年の米大統領選民主党候補指名争いに立候補した際、経済アドバイザーとなったことで注目された。さらに、2018年11月の選挙で、米国で史上最年少の女性下院議員となった民主党のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員が支持したことで、MMTは脚光を浴びることになった。
通貨を発行して支払いを行えばよい
では、MMTとはどのような理論なのか。本稿は、MMTの経済理論の是非を議論することが目的ではないので、理論の骨格だけを説明することにする。
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