イスタンブール市長選挙・再投票でエルドアンに厳しい「お灸」

 6月23日のイスタンブール市長選挙・再投票は、世俗主義系野党の「共和人民党」(CHP)エクレム・イマモール(Ekrem İmamoğlu)候補の圧勝に終わった。

 3月31日投票の統一地方選挙で、エルドアン大統領の与党「公正発展党」(AKP)は首都アンカラと最大都市イスタンブールの市長選に敗れた

 アンカラでの敗北はほぼ予想されていたが、伯仲していたイスタンブールで、子飼いの元首相で現職の国会議長のユルドルム(Binali Yıldırım)を候補に立てての敗北は、エルドアンにとって特に打撃だったようで、無理筋の横槍を入れて選挙結果を無効とし、23日の再選挙に持ち込んだ。しかしこれは国際的な非難を浴びるだけでなく、国内的にも野党諸勢力の結束を固めることになり、一部の従来のAKP支持層も離れたと見られ、イマモール候補54%・ユルドルム候補44%という、はっきりとした差がついて、野党候補が改めて勝利した。

 エルドアンはイスタンブールの庶民街出身というのが売りで、自らもイスタンブール市長を足がかりに、政界の階段を駆け上った。広域イスタンブール開発はエルドアン・AKP政権の得意とする「土建屋政治」を展開する主要な場であり、イスタンブール市長の座を野党が占めることにより、エルドアンの開発政策が変調をきたす可能性がある。

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