トルコは4年間の「選挙空白」期間へ:2023年の建国100周年を制するのは誰か

執筆者:池内恵 2019年7月1日
エリア: 北米 中東

イスタンブール市長選挙・再投票でエルドアンに厳しい「お灸」

 6月23日のイスタンブール市長選挙・再投票は、世俗主義系野党の「共和人民党」(CHP)エクレム・イマモール(Ekrem İmamoğlu)候補の圧勝に終わった。

 3月31日投票の統一地方選挙で、エルドアン大統領の与党「公正発展党」(AKP)は首都アンカラと最大都市イスタンブールの市長選に敗れた

 アンカラでの敗北はほぼ予想されていたが、伯仲していたイスタンブールで、子飼いの元首相で現職の国会議長のユルドルム(Binali Yıldırım)を候補に立てての敗北は、エルドアンにとって特に打撃だったようで、無理筋の横槍を入れて選挙結果を無効とし、23日の再選挙に持ち込んだ。しかしこれは国際的な非難を浴びるだけでなく、国内的にも野党諸勢力の結束を固めることになり、一部の従来のAKP支持層も離れたと見られ、イマモール候補54%・ユルドルム候補44%という、はっきりとした差がついて、野党候補が改めて勝利した。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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