「トランプ・ファースト」の外交が目立ったが……(C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ大統領は大阪での米中首脳会談において、米中貿易戦争の一時休戦を行い、世界の市場関係者を安堵させ、現在、株価も上昇傾向にある。

 周知のとおり、トランプ大統領は、そもそもG20(主要20カ国・地域)サミット参加のために大阪に来たはずなのだが、実際は、米中、日米、米露に加えて、インド、サウジアラビアやトルコなどとも2国間首脳会談を行い、最後にはサプライズの米朝会談を韓国の板門店で行った。

 しかしこれらのトランプ外交を通して、その本質がより明確になった。それは、「長期的戦略よりは再選と経済優先」「個人ベースの外交成果のアピール」、そして「アメリカの国益ではなく、トランプ・ファースト」という基本姿勢だ。それは今後の「米中貿易戦争」と「米中新冷戦」を読み解く上での貴重な材料となる。

対中休戦は経済面では好評価

 トランプ大統領の成果への米側評価は複雑だ。全体として、リベラルメディアはシニカルに批判的で、保守系はそれなりにポジティブに考えているが、経済面ではポジティブな評価、安全保障面では否定的な評価が多いようだ。

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