「盗票」が嘘と見抜かれた「イスタンブール市長再選挙」
2019年7月8日
6月23日にやり直されたイスタンブール市長選挙では、野党連合の「共和人民党(CHP)」候補エクレム・イマモールが54.2%の得票率で、与党連合の「公正発展党(AKP)」候補のビナリ・ユルドルム(45.0%)に9.2ポイント差をつけて当選した。与党の「自党の票が盗まれた」との主張を有権者がフェイク(嘘)と見抜いたからである。
この結果は、有権者とレジェップ・タイイップ・エルドアン政権にとって何を意味し、今後にどのような影響を与えるのか。本稿ではイスタンブール市長選挙やり直しの経緯、選挙結果、選挙後の政界動向を概観し、4年以内に実施される大統領・国会選挙を展望する。
3月は僅差の結果
2019年3月31日に実施された統一地方選挙で与党連合(AKPと「民族主義者行動党」=MHP)は、全国平均で52.1%を得票した(県・市議会選挙合計得票数を基準、内訳はAKPが42.4%、MHPが9.7%)。これは2018年6月の国会選挙での与党連合の得票率53.7%(AKP42.6%とMHP11.1%)を1.6ポイント下回ったにすぎない。
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