グローバル化が進む中で、この2大国は何を目指すのか (C)AFP=時事

 

 今は間違いなく乱世である。乱世とは、リーダーが不在でルールもない状況のことである。

 長い間、アメリカは国際社会の警察官の役割を果たしてきた。それが公平な存在であったかどうかは別として、国際紛争をある程度抑止できたのは間違いない。

 ところがドナルド・トランプ米大統領が就任してから、アメリカ第一主義の看板を掲げ、国際社会の平和と安定のためにこれ以上コストを負担しない姿勢を鮮明にしている。

 そのなかで、中国をはじめとする新興国が台頭している。そしてアメリカをはじめとする先進国が定めたグローバル社会の既存のルールは、新興国にとって不利であるとみられており、それが「米中対立」の根本的な原因となっている。

 しかし問題はそれだけではない。

 現在のグローバル社会において、国際紛争を解決する機能が明らかに弱くなっている。トランプ政権は中国の商習慣に不満があれば、いきなり制裁関税を課すのではなく、世界貿易機関(WTO)に訴えることができたはずである。むろん、今のWTOが紛争解決において十分に機能しない可能性もあるが、その場合は、WTOの改革に取り組めばいいのである。

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