英国「イランタンカー拿捕」の謎とさらに遠のく「核合意」復活
2019年7月12日

ますます緊張が高まっている(ホルムズ海峡周辺で演習中にミサイルを発射訓練を行うイラン軍の軍艦、2012年)(C)EPA=時事
先日、昨今のペルシア湾を巡る米国とイランの対立激化が石油市場に与える影響について、幅広い関係者と意見交換をする場があった。
興味深い指摘が多々あったが、事の性格上、ここでご披露することができないのが残念だ。
したがって、筆者の個人的な見解のみを次のとおり紹介させていただくことでご勘弁いただきたい。
この会合の場で、筆者が議論の出発点としたのは、7月4日にジブラルタル沖で、イランのタンカー「グレース1」号が英国によって拿捕され、これが今後「米イ対立」に新たな展開をもたらすだろう、というものだった。
各種報道を総合すると、事情は次のようなものだ。
まず「グレース1」号についてだが、同タンカーはパナマ船籍で、シンガポール登記の会社が保有している。30万トン級の大型VLCC(Very Large Crude Carrier=通常20~30万トン級)で、200万バレルほど積載することが可能だ。満杯にまで積載すると喫水が22メートルを超えるため、スエズ運河を通航することはできない(船舶位置検索システム『Marine Traffic』、および『港湾』2016年11月号などより)。
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