5月の記者会見で「波紋」を呼ぶ発言をした豊田章男会長。その真意は? (C)時事

 

 「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」

 5月13日に行われた日本自動車工業会の記者会見でのトヨタ自動車・豊田章男社長の発言が波紋を広げている。トヨタは2019年3月期決算で日本企業初の売上高30兆円超えを達成したばかり。最強企業の社長がなぜ、このタイミングでこんなことを言い出したのか。謎を解く鍵はガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトにある。

「雇用創出車」と「雇用喪失車」

 「今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」

 この日、自工会会長として記者会見した豊田社長の発言に、日本中が驚いた。1週間前に発表したトヨタの決算は絶好調だったからだ。

 売上高は前期比2.9%増の30兆2256億円、営業利益は同2.8%増の2兆4675億円。ダイハツ工業と日野自動車を合わせたグループの世界販売台数は1.5%増の1060万台。世界最大の自動車市場である中国ではハイブリッド車(HV)や高級車の「レクサス」が好調で、販売台数を14%増の148万台に伸ばした。

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