2日の党会議に出席したモディ首相(中央)(C)EPA=時事

 

 5月開票のインド総選挙で予想外の大勝を飾って2期目に入ったナレンドラ・モディ首相率いる「インド人民党(BJP)」政権は7月5日、2019年度(2020年3月期)の国家予算案(本予算)を発表した。富裕層への上乗せ税やローコスト住宅購入者への金利補助、電気自動車(EV)への優遇政策などを盛り込んだほか、農業・教育部門への配分を大幅に増やした。

 だが、2月に発表した暫定予算案ほどのインパクトはなく、選挙でも争点となった農村の困窮や製造業振興による雇用創出などに対する明確な政策は示されなかった。

 インドでは折しも雨季の雨不足が顕在化しており、農業生産の低下を招く経済成長のマイナス要因として警戒感が高まっているほか、自動車や住宅ローンの貸し手として大きな存在感があったノンバンクの経営危機も深刻。イラン情勢緊迫化を受けて原油価格も上昇気配だ。

 こうした状況下で、今年度7%の高成長への回復は果たして実現できるのか。予断を許さない情勢となってきた。

「農村」「教育」に重点配分

 国防相から横滑りし、女性としてはインド初の「フルタイム」財務相となったニルマラ・シタラマン氏(インディラ・ガンディー氏は財務相と首相を兼任していた)が発表した19年度本予算は、歳出総額27兆8634億ルピー(約44兆円)で、前年度予算(修正後)比13.4%増となった。

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