「パリ協定」厳守の流れは間違いなく石油需要の減少が想定されるが……(写真はイメージです)

 

 若かりし頃、商社の石油部門でインドネシア原油の仕入れ担当をしていた時期がある。光化学スモッグなどの大気汚染対策として、電力会社が使用燃料の低硫黄化を図る一方策として、低硫黄分原油を直接燃やす、いわゆる「生焚き」をしていた時代だ。

 他社の事情は知らないが、筆者が所属していた商社では、原油仕入れ担当がインドネシアから日本まで輸送するタンカーの用船業務も行うことになっていた。したがって筆者も当然のように、数万トン級のタンカー用船業務に従事した。

 タンカー市場はロンドンが最大で、次がニューヨークだった。

 したがって、東京時間の夕方から、ブローカー経由で用船業務を開始し、深夜過ぎにテレックスで契約確認をして終わるのが通常だった。だが、ロンドン市場で用船できないと、ニューヨーク市場まで追いかけなければならなかった。そうすると、時差があるため用船が完了するのは翌日未明になる。これは辛かった。ましてや、用船が不調に終わると、翌日も追いかけなければならないことになり、結局は高いものをつかまされることになるのだった。

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