キプロス共和国の排他的経済水域(EEZ)内とみられる海域で活動を続けるトルコ船(キプロス沖)(C)AFP=時事

 

 トルコがキプロス沖合での石油ガス探鉱活動に力を入れようとして、EU(欧州連合)との緊張を高めている。

 また、ロシアから購入したS400ミサイル防衛システムの納入が開始され、米国との緊張も高まっている。ドナルド・トランプ大統領は、バラク・オバマ前大統領がF35の売却をしなかったことが原因だとし、予期されていた制裁への舵を一挙に切ることはしなかった。だが、議会には強硬な意見が強く、トルコに対する制裁の可能性が無くなったわけではない。

 このような対外緊張政策は、イスタンブール市長選で野党に敗れたレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領による、国民の目を外にそらすためのものなのだろうか。

 ここ数年、「レバント」と呼ばれる地中海東部の、長いあいだ政治的安定性を欠いているために探鉱活動が不十分な海盆(ocean basin)に、大量の石油・ガスが胚胎しているのではないかとの見方がエネルギー業界では広まっていた。

 筆者は本欄で、『世界のエネルギー絵図を変えるか「レバント」ガス資源』(2018年1月17日)を書いて、初めて紹介した。

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