「リア」号事件を伝えるUAEの現地報道

 

 筆者がテヘランに勤務していた1996年、「JICA(国際協力機構)」からの出張者を迎えたことがある。燃料の過剰消費による環境汚染に悩まされているテヘランで、「省エネ化を実現する」という無償協力事業の事前調査が目的とのことだった。

 テヘラン市内および周辺の工場などを訪問して、燃料消費の実態を把握することから始めようとしているが、「困難に直面している」と言う。どこに行っても責任者は「どのくらい消費しているのか、まったく把握していない」と言うのだそうだ。なぜなら多額の補助金が出ているので、石油もガスも「タダのように安いから、気にしていない」のだと。

「でも支払いをしているのだから、消費量は把握しているのでは?」と聞くと、「請求書通りに払っているだけだ」と涼しい顔をしているのだそうだ。

「省エネというのは、燃料代が高いので消費量を減らそう、というところから始まるんですよね」と、調査担当者は困っていた。

 また、無償協力は相手国政府の要望に基づいて行うので、このような「無理筋」の協力事業でもやらざるを得ないのだ、とも言っていた。

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