「EU委員長」決定で見えた「メルケル敗北」と「マクロン勝利」
2019年7月22日
7月16日、ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防大臣が、欧州議会によって次期EU(欧州連合)欧州委員会委員長として承認された。欧州議会選挙では候補になっていなかったダークホースが欧州理事会(European Council)によって突如候補として指名され、委員長の座を射止めたことは、アンゲラ・メルケルの弱体化、エマニュエル・マクロンの影響力の増大など、ブレグジットに伴うEU内部の力関係の変化を象徴する出来事だ。
ダークホースを推挙
フォン・デア・ライエン(60)に対する欧州メディアの評判は良い。医師の資格を持つ7児の母として、家族・高齢者・女性・青少年大臣、労働・社会大臣、国防大臣を歴任。彼女はドイツ人であると同時に、欧州人でもある。
父親エルンスト・アルブレヒト(後年のニーダーザクセン州首相)がEUの前身・EC(欧州共同体)で働いている時にブリュッセルで生まれた他、英国留学、米国滞在経験もある。このためフランス語と英語で交渉できるほどの語学力がある。
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