次期、欧州委員会委員長に指名されたドイツ国防大臣フォン・デア・ライエン(左)と欧州理事会議長のドナルド・トゥスク。難題山積で難しい舵取りを強いられそうだ (C)AFP=時事

 

 7月16日、ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防大臣が、欧州議会によって次期EU(欧州連合)欧州委員会委員長として承認された。欧州議会選挙では候補になっていなかったダークホースが欧州理事会(European Council)によって突如候補として指名され、委員長の座を射止めたことは、アンゲラ・メルケルの弱体化、エマニュエル・マクロンの影響力の増大など、ブレグジットに伴うEU内部の力関係の変化を象徴する出来事だ。

ダークホースを推挙

 フォン・デア・ライエン(60)に対する欧州メディアの評判は良い。医師の資格を持つ7児の母として、家族・高齢者・女性・青少年大臣、労働・社会大臣、国防大臣を歴任。彼女はドイツ人であると同時に、欧州人でもある。

 父親エルンスト・アルブレヒト(後年のニーダーザクセン州首相)がEUの前身・EC(欧州共同体)で働いている時にブリュッセルで生まれた他、英国留学、米国滞在経験もある。このためフランス語と英語で交渉できるほどの語学力がある。

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