「北極海」「バレンツ地域」が鍵「フィンランド」を視る「5つのポイント」

篠田研次・元フィンランド大使インタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2019年7月24日
フィンランドの首都ヘルシンキは、ロシアに向けて伸びる「ロシア・ゲートウェー」と、バルト諸国から欧州に向けて伸びる「欧州ゲートウェー」という2つの扇の要に位置している。地図で見ればフィンランドの地理的重要性は一目瞭然(篠田氏提供、以下同)

 

 2019年が日本との外交樹立100周年に当たるフィンランドは、1917年にロシア帝国から独立を果たして100年あまりという「若い」国だ。しかし、その歴史は劇的で、独立後の内戦に始まり、第2次世界大戦でのソ連の侵攻、ナチスドイツへの接近、敗戦などの苦難を乗り越え、現在では教育や福祉、IT技術などの分野で世界でもトップを争う先進国へと大きな変貌を遂げている。

 日本では「ムーミン」やサンタクロース、デザイン分野の「イッタラ」、「マリメッコ」などで知られているものの、未だヨーロッパの端に位置する遠い北欧の国というイメージを持つ人が多いかもしれない。しかし実は、航空便を利用すれば10時間足らずで到着できる、欧州の中でも日本に「近い」国でもある。

 そのフィンランドを、「日本企業がロシア市場、北欧・バルト諸国、そして欧州各国でビジネス展開を考える際に、最適な『パートナー』になり得る可能性を秘めた国」と話すのは、2012~16年まで駐フィンランド特命全権大使を務めた篠田研次氏だ。なぜフィンランドがパートナーとして最適なのか、5つの視点から聞いた。

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