4年ぶりに発表された中国国防白書(写真)の中身は……(筆者提供)

 

 中国政府は7月24日、4年ぶりに国防白書「新時代の中国の国防」を発表した。「新時代」とした意味については、習近平共産党総書記(中国国家主席)の率いる共産党の指導の下で中国軍が強化され、今世紀半ばには米国と伍す力をつけるとの意識がにじむ。

 この「新時代」への認識に対し、米国は「これから50、100年にわたって(中国軍の増強は)米国の安全保障にとって最重要課題となる」と、統合参謀本部議長に指名されているマーク・ミリー陸軍参謀総長が7月中旬の上院軍事委員会の公聴会で指摘している。日本は、長期化する米中の安全保障をめぐる対立に戦略の練り直しを迫られ続けることは必至だ。特に「台湾」有事、中台統一は東アジアの地政学が激変する。

 白書発表直後、さっそく、米海軍は第7艦隊に所属する艦艇(ミサイル巡洋艦「アンティタム」)が24日から25日にかけて台湾海峡を航行したと発表した。米軍艦は今年に入り、6月を除いて毎月台湾海峡を航行しているが、中国共産党内部には「遠くない将来、台湾を封鎖できる力量を持つ」とし、中国建国100周年の2049年ではなく、(台湾有事で米軍を寄せ付けない局地戦争能力を備えた)2030年代後半には台湾を「回収(統一)」するとの認識が出ている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。