事ここに至るまで、日本は周到に準備し、韓国は放置していたのだ(左・文在寅大統領、右・安倍晋三首相)(C)EPA=時事

 

 安倍晋三首相がホスト役を務めたG20大阪サミットで6月29日に採択された首脳宣言は、「我々は、自由、公正、無差別で透明性があり予測可能な安定した貿易及び投資環境を実現し、我々の開かれた市場を維持するよう努力する」と謳った。

この「時期」が適切だったのか?

 安倍首相はそのわずか2日後の7月1日に韓国への3品目の輸出規制強化を発表し、韓国を「ホワイト国」から外す方向で検討を始めたと発表した。これは明らかにG20首脳宣言に書かれた内容とは反対の動きだ。せっかく大阪で開催したG20サミットの首脳宣言を、自ら否定するような印象を与える行動を取った。

 日本政府は過去、政治的な紛争の道具に通商カードを使うことには反対してきたはずだ。今回の措置については「安全保障上の通商管理」を主張するが、これはまるでドナルド・トランプ米大統領の論理だ。今回の対応は大局的に見れば、徴用工問題への事実上の対抗措置と見ざるを得ない。

 G20大阪サミットは6月28、29日に大阪で開催されたが、トランプ大統領は6月29日にはソウルに移動し、6月30日に板門店で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との板門店会談を開催した。ツイッターで6月29日午前に提案した首脳会談を、約32時間後に実現するという「政治ショー」を演じたわけだ。

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