地政学の進化:「抑止力」を乗り越えられるのか(3)
2019年8月3日
では、今の米中対立はどうか。たとえ滅んでも、という危険を冒してまで戦争をするというのは、どう考えても合理的な判断ではないわけですが、それを上回るような動機なり恐怖なりがあるのだろうか、ということを考えざるを得ないわけです。
必然性がなくなった「核戦争」
仮に、そういう非合理的で自滅的な核戦争に至るまでの必然性がないのが事実だとすると、結局は核抑止力が戦争を防いでいるのではない、ということになる。
しかし、アメリカも中国もなかなか戦争をしない。その、戦争をさせない要因とはいったい何なのか。これがわかれば、核の恐怖によって相手を抑止するのではなく、抑止という概念ではない、別の戦争を避けるためのツールとなるような概念がつかまえられるのではないか。
つまりアメリカも中国もお互い、核を使うということを当たり前だと思ってない、むしろ使わないだろうなと思っている。そういう状況なのになぜ、米中の戦争が起きにくいのか、ということを考えるべきなのですが、1つの理由としては、確実ではないとしても、やはり核戦争まで行くかもしれないという、拡大への不安というのがあるんだろうと思います。
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