遊説でもしきりに経済の好調ぶりをアピールするが……(C)AFP=時事
 

【ワシントン発】 今後の米国経済の先行きについては、最近益々激化する米中貿易摩擦や世界経済の減速により、2020年大統領選挙の政治サイクルに向けて次第に減速していくのではないかとの懸念が浮上してきている。

 そうした中、ドナルド・トランプ大統領は自らの再選を確実なものとするため、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に対して政策金利の大幅引き下げを再三求めて積極的に政治介入を行っているだけではなく、パウエル議長自身に対する個人攻撃まで展開している状況にある。現在の米国経済の堅調さをできる限り引き続き維持させ、再選キャンペーンに自らに有利な経済状況をもたらそうとするのがトランプ大統領の狙いだと考えられる。

 トランプ大統領が金融当局への介入を強める中、ポール・ボルカー、アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキ、ジャネット・イエレンといった錚々たるFRB議長経験者4名が、トランプ大統領によるFRBやパウエル議長に対する政治圧力の動きを厳しく批判するとともに、FRBの独立性の重要性を強く訴える内容の「米国は独立した米連邦準備制度理事会を必要としている(America Needs an Independent Fed)」と題する連名の寄稿を、8月5日に『ウォール・ストリート・ジャーナル』に行うという極めて異例の事態となっている。

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