「堅調な米国経済」がトランプ再選の「追い風」にはならない可能性

執筆者:足立正彦 2019年8月16日
エリア: 北米
遊説でもしきりに経済の好調ぶりをアピールするが……(C)AFP=時事
 

【ワシントン発】 今後の米国経済の先行きについては、最近益々激化する米中貿易摩擦や世界経済の減速により、2020年大統領選挙の政治サイクルに向けて次第に減速していくのではないかとの懸念が浮上してきている。

 そうした中、ドナルド・トランプ大統領は自らの再選を確実なものとするため、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長に対して政策金利の大幅引き下げを再三求めて積極的に政治介入を行っているだけではなく、パウエル議長自身に対する個人攻撃まで展開している状況にある。現在の米国経済の堅調さをできる限り引き続き維持させ、再選キャンペーンに自らに有利な経済状況をもたらそうとするのがトランプ大統領の狙いだと考えられる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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