「回帰不能点」越えた「香港デモ」の行き着く先
2019年8月20日
香港から毎週郵送されていた漢字週刊誌『亞洲週刊』が6月末以来、滞りがちだ。印刷や発送業務に異変が起きているのだろう。こんな些細なところにまで影響が出ていると思われる香港の混乱だが、現地では国際空港閉鎖にまで突き進んでしまった。
タイのタクシン・チナワット元首相の影響力排除を狙った反タクシン派(黄シャツ派)がスワンナプーン国際空港のロビーを長期占拠した10年前のバンコクを思い起こす。空港機能をマヒさせはしたが、内外世論の反発を招き、結果として反タクシン運動に追い風とならなかったことを考えるなら、空港占拠戦術は派手な割に政治的効果は薄いようだ。
回帰不能点を突破する可能性も……
今回の混乱の発端が、香港で身柄を拘束された容疑者の中国本土への引き渡しを狙ったとされる「逃亡犯条例」改定問題にあり、2014年9月下旬から12月にかけて続いた「雨傘革命」が伏線になっていることは容易に想像できる。
だが、当初は頓挫した雨傘革命の復讐戦と思えた今回の抗議行動は過激化の一途を辿り、警備当局との衝突は香港全域にまで拡大している。もはや復讐戦のレベルを遥かに超えたと見做すしかない。混乱する事態をコントロールできないままに回帰不能点(ポイント・オブ・ノーリターン)を突破する可能性も否定できそうになく、中国の人民解放軍投入という最悪の事態も荒唐無稽な想定ではなくなりつつある。
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