メキシコ国境の壁建設現場で、収容施設への移送を待つエルサルバドル人移民(アメリカ・エルパソ)(C)AFP=時事
 

【ワシントン発】 2017年1月の就任以来、ドナルド・トランプ大統領の統治スタイルや政権運営、政策決定などについて描写する際に頻繁に使われてきた表現は、「予測不可能(unpredictable)」、あるいは、「一貫性の欠如(incoherent)」といったものである。だが、2015年6月16日にマンハッタンの「トランプ・タワー」で出馬表明を行ってから4年以上が経過した今でも、トランプ大統領が政策面で一貫性を維持し、まったくぶれることがない数少ない政策の1つが、国境管理と不法移民取締の強化である。

 出馬表明演説の中でトランプ大統領は、メキシコからの不法移民は善良な人々ではなく「麻薬密輸人」や「強姦者」であると指摘し、不法移民の取締強化の必要性を強く訴えてメキシコ政府の猛反発を受けた。

 さらに、2016年大統領選挙キャンペーン中には、自らの支持者を前にした全米各地での政治集会でメキシコとの国境沿いに「壁」を建設する必要性を訴え、その建設費用についてもメキシコ側に負担させることを訴えていた。

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