8月22日、GSOMIA破棄を発表する韓国大統領府の金有根国家安保室第1次長 (C)EPA=時事
 

 秘匿度の高い軍事情報を、米国を除く第3国に察知されずに日韓で相互提供する「情報保護の協定」のGSOMIA“General Security of Military Information Agreement”「日韓秘密軍事情報保護協定」が破棄された。

 GSOMIA機能の代表例としては、偵察衛星の画像情報が日本から韓国へ提供され、韓国から日本へは、北朝鮮と地続きに国境を接しているなど地理学的特性がその利点であるHUMINT “Human Intelligence(人を介しての情報活動)”情報の共有があった。

 さらに、GSOMIAの貴重な価値は、GSOMIAが、「軍事的機能の1つ」でありながら、北東アジアにおいて軍事的脅威を低減させ、「安定的秩序の維持」に寄与する「パワー・バランス(勢力均衡)」すなわち「戦争抑止」のための「非武力行使」の「有効手段」であったことだ。

 加えて、日韓同盟は存在しないが、日米、米韓の同盟がある上に日韓で具体的な軍事協力体制が敷かれていることは、事実上、米国を基軸にした「3国同盟的集団安全保障体制」の存在について無意識の了解を進めた。GSOMIAがキー・ファクターとなっていたこの体制は、様々な東アジア地域の安全保障上の脅威排除に寄与した。

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