「GSOMIA破棄」で揺らぐ米韓同盟(上)

執筆者:平井久志2019年9月3日
8月2日の3国外相会談の段階で、すでに足並みも視線も不揃いだった(左から康京和韓国外相、ポンペオ米国務長官、河野太郎外相)(C)AFP=時事

 

 日米韓の安保体制は日米同盟と米韓同盟を基軸とするが、日韓の間に同盟関係はない。そういう状況で、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は日韓を結び付け、日米韓が安全保障で連携する役割を果たしてきた。

 韓国がGSOMIAを破棄すれば、日米韓3国による安全保障上の連携が揺らぎ、米韓同盟にも否定的な影響を与えることは明らかだった。特に米国の韓国に対する信頼が低下することが憂慮された。韓国はそのことを分かりながら、GSOMIAを破棄した。ある意味で、米韓同盟に与える影響を過小評価したといえる。

米国高官の相次ぐ「日韓説得」

 ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、7月22日の河野太郎外相との会談で「北朝鮮の非核化に向けた日米韓連携に悪影響を与えかねない」と日韓の対立を問題視し、当事者間での対立解消を促した。ボルトン補佐官は、米国は日韓の対立解消に積極的に介入しないとし、当事者間で解決するよう促したという。この言葉の裏には、「米国が介入しなければならないような事態にしないでくれ」という含意があったとみられた。

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