根本匠厚労相は「年金は100年持続可能」と胸を張るが (C)時事
 

 数年来言われ続けてきた「年金制度崩壊」の危機がいよいよ明らかになった。

 厚生労働省自身による「財政」の検証を検証してみると見えてきたのは、将来にわたっての年金受給額の減少、年金受給年齢の高齢化はおろか、最悪の場合には、国民年金では積立金が枯渇し、所得代替率は30%台半ばまで低下するという姿だ。

意図的に遅らせた?

 厚生労働省は8月27日、2019年財政検証の結果を発表した。多くのメディアは、根本匠厚労相の、

「所得代替率50%以上を確保できることが確認された。(年金制度は)おおむね100年、持続可能になる」

 との発言を受け、そこだけを強調して「所得代替率は50%を確保」と如何にも年金制度が安定しているかのような報道をしている。しかし、財政検証を詳細に検証すると、そこには政府の主張する“100年間持続可能な年金制度の欺瞞”が浮かび上がってくる。

 厚労省による年金制度の財政検証は、5年に1度行われる。「次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、 給付水準調整の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担のあり方について検討を行い、所要の措置を講ずる」(厚生年金保険法及び国民年金法の規定)ことを目的としている。

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