南米コロンビア「和平合意」3年目の危機

田村剛『朝日新聞』元サンパウロ支局長インタビュー

執筆者:フォーサイト編集部2019年9月11日
野営地で音楽の演奏を聞く戦闘員たち=2016年9月(田村氏撮影)

 

 半世紀以上にわたって内戦が続いていた南米コロンビアで、反政府左翼ゲリラ「FARC」(コロンビア革命軍)と政府の歴史的な和平合意が結ばれたのは2016年9月のこと。当時のファン・マヌエル・サントス大統領はノーベル平和賞を受賞し、日本でも「コロンビア内戦終結へ」と大々的に報じられた。

 あれから3年、和平合意はここへきて新たな局面を迎えている。

 FARCは武装解除を経て「人民革命代替勢力」(略称は同じFARC)という合法政党に移行し、ロドリゴ・ロンドニョ元最高司令官を筆頭に大半の元戦闘員が社会復帰を果たした。しかしその一方で、和平交渉をFARC側の団長として率いた元ナンバー2のイバン・マルケス氏がつい先日の8月29日、動画を投稿して「武装蜂起再開」を宣言したのである。

 コロンビアでは昨年5~6月にサントス前大統領の任期満了に伴う大統領選が行われ、和平合意の見直しを掲げるイバン・ドゥケ政権が発足しているだけに、和平合意の存続も危ぶまれる。

 今年6月20日に『熱狂と幻滅 コロンビア和平の深層』(朝日新聞出版)を上梓した『朝日新聞』元サンパウロ支局長の田村剛氏に、和平合意のプロセスや現在の状況について聞いた。

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