1989年6月6日、天安門広場の北側を東西に走る長安街で警戒に当たる中国人民解放軍戦車部隊。この2日前の武力鎮圧の教訓は、習近平政権にも受け継がれている (C)AFP=時事

 

 習近平政権は10月1日(中国の国慶節)の建国70周年を最重視している。香港情勢はその前後、どう変わっていくのだろうか。

 本稿の趣旨は、今後、香港の反政府デモの情勢次第で中国共産党が「武装力量」(中国の憲法および国防法によって規定されている武装組織を包括した呼び方。人民解放軍、人民武装警察部隊、民兵を指す)を香港に投入するか否かの分析である。複数の中国筋の指摘、今の習近平政権と1989年の天安門事件当時の政権との比較、武装力量を投入する条件などについて考察しようと思う。

 香港政府が「逃亡犯条例」改正案を撤回した。メンツを重んじる北京にとっては異例の判断であるとされ(筆者の見解はやや異なるが)、「香港での過激な反政府行動は下火になっていくのではないか。散発的に過激な破壊行動があっても、まさか中国軍を『国際金融都市』香港に展開するという、中国の国際関係にダメージを与えるリスクの大きい手段を北京がとることはないだろう」との見方が多いのではないか。

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