愛知県名古屋市の熱田神宮には、草薙剣が祀られている(筆者撮影)
 

 間もなく、今上天皇の践祚大嘗祭(せんそだいじょうさい)が執り行われる(11月14日)。正式な即位儀礼は、これで整う。当然、天皇家最大の祭りの意味を明確にする必要があるが、謎が深すぎて、やっかいだ。そこで今回は、皇位継承のもう1つの要素「三種(さんしゅ)の神器(じんぎ)」に注目しておきたい。八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)だ。

 神宝のそれぞれの由来は、どこまでわかるのだろう。『古事記』の記事を追ってみる。

(1)八尺瓊勾玉は、アマテラス(太陽神・天照大神)とスサノヲの「誓約(うけい)」の場面に登場する。スサノヲが天上界を奪おうとしているとアマテラスが恐れたので、スサノヲは無実を晴らそうとしたのだ。この時スサノヲはアマテラスの髪を飾っていた「五百津(いおつ)のみすまるの珠(たま)」の中の八尺瓊勾玉をもらい受け、天真名井(あまのまない)で振り濯ぎ、噛んで吐き出すと、その息の霧の中から男子が生まれた。その末裔が天皇家だから、いわば天皇は、八尺瓊勾玉の子だ。

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