顔ぶれは変わったけれど、政策は……(C)時事
 

「結局、国は僕らの世代に手を差し伸べる気などないのでしょうね」と知人の44歳の男性は淡々と語った。

 彼は、大学卒業後から現在まで20年以上、1度も正社員として就職することなく(就職できずに)、派遣社員として生計を立ててきた。小学校4年生になる息子が1人おり、40歳になる妻も派遣社員として働いているが、「生活はかなり苦しい」という。

「就職氷河期世代」とは、厚生労働省の資料によると1993~2004年に卒業した、現在、大卒なら37~48歳、高卒なら33~44歳の世代を指す。バブル経済崩壊後の不況期に就職時期を迎えたことで、非常に厳しい採用環境の中、新卒として正社員で採用されることがかなわなかった。その後も、景気回復の遅れと企業側の新卒優先の採用から、非正規雇用での就業が続き、年齢を重ねるほど正規への雇用転換が困難な状況が続いた。年齢的に見れば、まさに現在の日本経済を支える“働き盛り”の世代だ。

「8050問題」も深刻化

 安倍晋三首相は6月11日に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)で、就職氷河期世代に対する新たな支援策を打ち出し、今後3年間を集中支援期間として就職氷河期世代の就職を支援し、「非正規雇用やひきこもりの人など約100万人を対象」に、正規雇用の30万人増を目指すと華々しく宣言した。

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