2017年9月、ニューヨークで会談したガニ・アフガニスタン大統領(左)とトランプ米大統領(右)(C)AFP=時事
 

 

「9.11」テロ攻撃からちょうど18年が過ぎようとしていた9月7日、ドナルド・トランプ米大統領がツイッターで、アフガニスタンのタリバン勢力との和平交渉の崩壊を宣言した。大統領別荘であるキャンプデービッドにタリバン指導者層とアシュラフ・ガニ大統領を招く予定もあったことも明かし、波紋を呼んだ。

 トランプ大統領によれば、交渉崩壊の原因は、米兵1名が死亡した9月5日に起こったカブールでの自爆攻撃だという。しかし、この種の事件は、アフガニスタンでは決して珍しいものではない。トランプ大統領は、交渉の大詰めでこのような事件を起こすのは許せない、と本当に思ったのかもしれない。だが、タリバン指導部の高次元の政策決定で起こった事件だったようにも見えない。

 アメリカのアフガニスタン政策は揺らいでいる。アフガニスタン情勢の行き詰まり感は、相当なものだ。今後、アフガニスタンはどうなっていくのだろうか。

トランプ大統領の焦り

『BBC』は、タリバン勢力がアフガニスタンの国土の70%以上の地域で活発に動いているとみなせる、と述べている。数字で表現するのは難しいと思われるが、2001年以降の時期で言えば、現在のタリバンの勢力が最大規模になっていることは間違いない。これに伴い、軍事衝突はさらにいっそう強まっている。過去1年間だけで、米兵16名が戦死した。

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