CIAで「ガラスの天井」を破った女傑の素顔

【特別対談】『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』著者・山田敏弘×『相棒』脚本家・真野勝成

執筆者:フォーサイト編集部2019年9月20日
キヨ・ヤマダの素顔に迫る――(撮影:菅野健児)

 

CIAノンフィクションであるとともに、1人の女性の物語でもある――

 米ワシントンD.C.のアーリントン国立墓地に眠るその日本人女性の名前は、キヨ・ヤマダ。1922年に東京で生まれ、戦後に渡米して軍人と結婚し、国務省に長らく勤めて2010年に他界した――というのは表向きの経歴だ。実際はCIA(米中央情報局)のスパイを養成する語学インストラクターだったのだという。

 この度刊行された山田敏弘さんの『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)は、そんな彼女の半生を綴ったノンフィクションである。

 一体、キヨ・ヤマダとは何者だったのか。山田氏とドラマ『相棒』(テレビ朝日系列)で知られる脚本家の真野勝成氏が、本書で明らかにされるキヨ・ヤマダの秘密の一端を語った。

日本はソ連・中国のスパイ拠点

真野 僕はインテリジェンス関連の本が大好きなので、本書は“ド真ん中”でした。

 CIAの諜報活動は基本的には表に出てきません。何年か経ってちらほらと漏れ伝わってくるものもありますが、それはウサマ・ビン・ラディン掃討作戦のような大きなオペレーションに限った話です。

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