ソロモンとの断交を受け記者会見に臨んだ蔡英文総統(C)時事

 

 9月16日夜、南太平洋の島嶼国家、ソロモン諸島が中華人民共和国と国交を結ぶ方針を決めたことを受け、台湾の蔡英文政権は、外交関係を36年間にわたって維持してきたソロモン諸島と断交することを発表した。

 会見した台湾の吳釗燮外交部長は苦渋の表情を浮かべながら「台湾とソロモン諸島の36年間の協力関係を無視した誠意なき決定だ」とソロモン諸島の決定を批判した。

 さらに20日には、同じく太平洋のキリバスが台湾との断交を表明。わずか5日間に2カ国の断交となり、台湾が外交関係を有する国は史上最少を更新して15カ国となった。2020年1月に控えた台湾総統選において、再選を目指す蔡英文総統に対するプレッシャーをかけるため、中国の建国記念日(10月1日)や台湾の建国記念日(10月10日)が重なるこの時期に、中国が狙って断交工作を仕掛け、成功に導いた可能性が高い。

背後に「オーストラリア」への怨恨

 200余の島からなる人口約60万人のソロモン諸島は、今年4月の新政権の発足後、中国との外交関係樹立に向けて動き出していた。

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