ベネズエラではマドゥロ支持者による「ノー・モア・トランプ」運動が続く(C)AFP=時事

 

 国際圧力を背景に、ニコラス・マドゥロ政権の退陣と大統領選挙の早期実施を求めて攻勢を仕掛けてきたフアン・グアイド暫定大統領側の勢いが、4月30日の一部軍人の離反を交えた「決起」の失敗後、すっかり弱まった感がある。

 反対に、軍事政権化を強めるマドゥロ政権の側に形勢が反転しつつあるようにも見える。

 4月の決起失敗の後、ノルウェー政府の仲介で与野党間での話し合いがカリブ海のバルバドスにおいて断続的にもたれた。だが、8月5日、米政府により新たな制裁強化策が発表されたのを受けて、政権側は態度を硬化。話し合いは中断され、依然、膠着状態が続いている。

 新たな制裁強化は、米国におけるベネズエラ政府の全資産の凍結と、政権を支援する企業や個人、中国・ロシアなど関係国にも及ぶ、事実上「経済封鎖」に等しい措置であった。

後退する国際圧力

 突出する米国の制裁強化を別にすれば、暫定大統領を後押ししてきた国際圧力にも陰りが出ている。

 8月6日、周辺国主導の「リマグループ」の呼びかけで、ベネズエラ情勢をめぐる外相級国際会議がペルーのリマで開かれたが、中国・ロシア代表が欠席する中で、与野党協議を背景にした危機打開への糸口を見出すものとはならなかった。

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