EU残留を求めて英国会前でデモをする人々。「ブレグジット」は果たしてどこに行きつくのか…… (筆者提供、以下同)

 

 欧州連合(EU)からの離脱期限を10月末に控え、英国が迷走を続けている。

 7月末に発足したジョンソン政権は、権威主義的ポピュリズムさながらの手法で議会の動きを封じ込め、一気に離脱に突き進もうとした。しかし、離脱に慎重な議会側からの逆襲を受け、最高裁からもその行為を違法と判断され、試みは頓挫。政権への信頼は低下し、野党からは首相辞任を求める声も高まる。政権は発足2カ月で、早くも窮地に陥っている。

 離脱の立場に固執する政権側と、期限の延期を求める議会側との間で、折り合いは付きそうにない。英国内でこのような内紛が続く間にも、離脱期限は刻々と迫る。

 すでにこの期限は2度延期されているが、3度目の延期をEU側が与えてくれるのか、保証の限りではない。

 英国はどこに行くのか。複雑な状況を振り返り、今後の可能性を考えてみたい。

その前に閉会させてしまえ

 7月下旬に政権が発足して最初の1カ月ほどの間、首相ボリス・ジョンソンは「合意なき離脱」も辞さない強硬な言動を繰り返し、EUとの対決姿勢を鮮明にした。それは、主に国内向けパフォーマンスだと受け止められた。実際、彼自身が持つ大衆人気も加わって、その試みはある程度功を奏した。

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