日本でもある程度は浸透してきたが……(写真はイメージです)
 

 日本は、世界でもっともIT技術が発達している国の1つである。しかも、日本人の識字率は約99%といわれている。加えて、日本人のパソコンやスマホの普及率も世界で類を見ない高さと推察されている。

 しかし、日本人のスマホ決済(キャッシュレス)の利用率は2割程度とみられ、中国の60%に遥かに及ばない。

 安倍晋三首相は、国会などでも繰り返しキャッシュレス化を推進すると宣言し続けている。にもかかわらず、この現実である。ならばその前に、なぜ日本ではキャッシュレスは進まないのかを考察する必要があるのではないか。

「スマホ決済」の不安

 そもそも、キャッシュレスの意味をどのように理解すればいいだろうか。

 古典的な貨幣理論によると、貨幣の役割は、(1)価値尺度(2)流通手段(3)価値貯蔵、の3つである。これでみるとスマホ決済は、従来の貨幣(現金)に代わって、価値尺度と流通手段の役割を果たしている。しかも、貨幣よりも利便性が高いというメリットがあるから広く受け入れられている。

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