ジブチに開設された中国基地(C)AFP=時事

 

 中国の「一帯一路」構想は、ユーラシア大陸とインド洋を舞台に東西をつなぐ交通路を充実させ、経済活動の促進を目指す構想である。同構想の西端に位置するアフリカにおける中国の経済的プレゼンスの増大については、今更説明する必要もないだろう。

 本稿で注目したいのは、いまや日本でもよく知られているアフリカにおける中国の経済活動ではなく、アフリカにおける中国の軍事活動の実態についてである。

 軍事活動は一般市民の目に触れる機会こそ少ないものの、「一帯一路」構想を直接的・間接的に支えており、その活動は2種類に大別できる。

 1つはアフリカ北東部の「アフリカの角」を舞台とした人民解放軍の海賊対処活動と基地建設。もう1つは、一部の専門家を除いては日本ではほとんど知られていない、アフリカにおける国連平和維持活動(国連PKO)への人民解放軍の大規模な派遣である。

要衝「ジブチ」に基地を開設

 最初に海賊対処活動と基地建設について。

 アフリカにおける中国の近年の軍事活動について考える時、転機となったいくつかの出来事がある。その1つは2008年、「アフリカの角」に位置するソマリアの沖合における海賊の存在が問題化した時であった。

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