「2020年代」を占う左派政権(ベネズエラのマドゥロ大統領とボリビアのモラレス大統領)

 

 2019年、令和元年も約3カ月を残すのみとなった。同時に、2010年代が終わりに近づいている。2010年代の中南米はどう特徴づけたらよいのだろうか。そして次の2020年代はいったいどのような年代となるだろうか。

 10年単位で各年代の特徴を把握する時、下1桁が9の年にその後の10年を画期する事象が生じていることは、経験則が示す通りである。大概は10年経って後知恵的に確認ができるのだが、これまでの2019年の重大な事象の中に次の2020年代を展望するためのヒントが隠されているかもしれず、現時点で振り返っておくのも決して無駄ではあるまい。

これまでの経験則から見た「9の年」

 1959年はキューバ革命でカストロ政権が誕生した年である。米国の干渉と制裁に抗して、その「裏庭」の目と鼻の先で社会主義体制が生き延びたことは、中南米の左派勢力を活気付け、各国でゲリラ闘争が激しさを増した。

 各国が「第2のキューバ」となることを阻止しようとする米国の支援で軍部の影響力がしだいに強まり、1960年代半ばから70年代にかけて各国で軍事政権が誕生。中南米は軍政の時代に突入していく。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。