9月、国連総会に合わせて行われた米・ウクライナ首脳会談。ウクライナのゼレンスキー大統領(左)とトランプ大統領が交わす握手も特別なものに見えてくるような…… (C)AFP=時事

 

 国民の圧倒的な支持を集めてコメディアンから大統領に転身したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に逆風が吹き始めた。ドナルド・トランプ米大統領が2020年の大統領選で自分に有利な情報を提供するようウクライナ政府に圧力を掛けたとのスキャンダルに巻き込まれ、内政にも暗雲が立ちこめている。

「今も演じているだけ」

 9月半ばに首都キエフで開かれた「ヤルタ欧州戦略会議」で講演したゼレンスキー大統領はマイクを持って壇上を下り、聴衆に軽い調子で問いかけた。

 「あなたにとって幸福とはなんですか」

 ウクライナ人の多くから「家族」という答えを引き出すと、将来に向けて改革を成し遂げ、経済を成長させるとの決意を語った。

 同会議の晩さん会では自分の劇団を使ってパフォーマンスを披露した。大統領に扮した劇団員がゼレンスキーの口調をまね、英語通訳としてゼレンスキー大統領自身も壇上にあがり、こんなやり取りを繰り広げた。「私はウクライナの大統領です」「いや、大統領は私だ」――。

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